事例

Case

データ連携プラットフォーム

ケアデータコネクト
for
Future Care Lab
in Japan

「ケアデータコネクト」は、約30社のセンサーメーカーと連携し、全センサーを1画面で確認できる見守り統合プラットフォームです。
収集されたデータは、他システムへの連携も可能としており「for Future Care Lab in Japan」では、新しいデータ活用モデルを提供します。

データ連携プラットフォーム ケアデータコネクト for Future Care Lab in Japan

共同開発

ケアデータコネクト for Future Care Lab in Japan

現場実証で改良を重ね、より介護現場をサポートするシステムへ。

「自動記録によって介護現場でのデータ入力作業をゼロにしたい」という最終目標を掲げてスタートしたケアデータコネクトの共同プロジェクト。多様な課題を現場実証を経てクリアし、改良を重ねました。さまざまなハードルを乗り越えられたのは、「介護の未来をより良くする」という共通のミッションがあったから。お互いの思いが介護現場をサポートするシステムに結実しました。

開発企業の「シーズ」

各機器データの自動記入や連携が可能な見守りプラットホーム「ケアデータコネクト」の開発ノウハウ
LabのマッチングLabのマッチング

介護現場の「ニーズ」

さまざまな機器・テクノロジーを導入した際に起こる個別の機器の操作や画面チェックの負担の軽減
ケアデータコネクトに最終形はない。進化し続けて介護の未来を変える

対 談

共同開発のストーリー

ケアデータコネクトに最終形はない。
進化し続けて介護の未来を変える

対談メンバー

  • 飯田 友一氏

    (開発企業)

    株式会社ブライト・ヴィー

    飯田 友一

    代表取締役社長

    大学卒業後、富士通株式会社に9年間勤務。
    その後フリーランスエンジニアとして独立。
    介護施設のシステム構築をきっかけに介護分野に興味を持つ。2014年、株式会社ブライト・ヴィー設立。
    ICTによる介護現場の改善に注力。

  • 高橋 健司

    (Lab担当者)

    Future Care Lab in Japan

    高橋 健司

    Lab技術責任者

    大学卒業後、損保ジャパン株式会社に入社。
    情報システム部・IT企画部・海外事業部門などで、
    主にIT業務に携わる。Labでは技術責任者として勤務。

まず、ケアデータコネクトの開発に至った動機・経緯を教えてください。

飯田:フリーのシステムエンジニアとして独立後、最初の仕事が特別養護老人ホームのシステム構築だったことが介護と関わるきっかけでした。その仕事に携わる中、介護職の方たちとのお話しや、夜勤を含めた介護現場の体験、介護職向けの研修にも参加するようになり、介護の大切さや介護職の皆さんがどんな思いでお仕事をされているかを、自分事として感じられるようになっていきました。その後「働きやすい介護現場づくりをICTで実現したい」という思いが募り、2014年の会社立ち上げに至りました。そして同年に介護研修で出会った介護コンサルタント「株式会社ねこの手」伊藤亜紀さんから相談を受けた「現場で計測したバイタルが、自動で介護記録に入らないかな?」という言葉がヒントになり、ケアデータコネクトの企画立案につながりました。計測機器の連携という発想自体が認知されていなかった中、数多くのメーカーの皆さんに「介護現場の効率化にご協力ください」とお願いして回り、なんとか製品化することができました。

Labサイドとして、ケアデータコネクトのプロジェクトにアプローチした背景・きっかけについて教えてください。

Labのアイデアを取り入れることで
製品が大きく成長できると実感

Labサイドとして、ケアデータコネクトのプロジェクトにアプローチした背景・きっかけについて教えてください。

高橋:Future Care Lab in Japan(以下、Lab)ではさまざまなセンサーなどのテクノロジーを検討していますが、現場に複数の機器を導入すると介護職は機器ごとに違う画面をチェックしたり、操作したりしなければならず、全体的に使い勝手の悪いシステムになってしまいます。その現場の課題を解決するため、中長期的な視点で介護施設のあるべきシステムの構想を立案する必要があると考え、リサーチ業務の一環としてWeb検索をしていた時、ブライト・ヴィーにたどり着きました。すぐに飯田さんにコンタクトを取り、Labに来ていただき、システムの検討がスタートしたわけです。

飯田:高橋さんからメールをいただいた時は「何事だ?」と驚きましたね。すぐに電話して、次の日にはLabに伺いました。その初回の打ち合わせがとても楽しかったことを今でも覚えています。Labのやりたいことや、想像している未来像が私たちの思い描いているものと一緒で、ビジネスになるかどうかよりも、お話しすることがとにかく楽しくて、また会ってお話ししたいと強く思いました。製品に関しても、その時点ではLabが求めているレベルには到達していませんでしたが、私たちが作ってきたもの、作りたいと思っているものが、高橋さんの口から語られたものと一致してとても嬉しかったです。一番実感したのは、私たちだけで作れる製品を100とすれば、Labのアイデアをプラスすることで110にも、120にも、どんどん成長していくのではないか、と期待が膨らみました。

高橋:私も同感で、介護現場で解決すべき課題からシステムのあるべき姿まで、お互いに考えていることが一致したため、トントン拍子で話しが進んだという記憶があります。もともとWeb検索の段階で、企業理念やデザイン・センスなどを見て直感的に私たちの構想にマッチするだろうとは考えていました。

具体的にどのような流れでプロジェクトを進行していったのか、また、その過程でどのような苦労があったのか教えてください。

具体的にどのような流れでプロジェクトを進行していったのか、また、その過程でどのような苦労があったのか教えてください。

高橋:最終的には自動記録によって介護現場でのデータ入力作業をゼロにしたいという目標がありましたが、そこまでにはたくさんの課題があり、やりたいことも盛りだくさんでした。ステップに分けて実現していくための順番を整理し、システム開発後、介護施設での実証を行いました。開発自体は飯田さんたちがしっかり対応しているので、私たちに苦労はありませんでしたが、一番大変だったのは現場実証でした。老人ホームの各居室にタブレットやセンサーを設置して実際に運用した結果、さまざまな課題・ニーズが出てきたため、それらをフィードバックし、一緒に対策を検討した上で次のステップにつなげていきました。苦労しましたが、これが最も重要な作業だったと考えています。

飯田:現場実証では、やはりコロナ禍の影響が大きかったです。本来なら私たちも施設を訪問してお手伝いしたかったのですが、感染対策のため各部屋にはLabのスタッフしか入れませんでした。その分、高橋さんたちは設置作業がとても大変だったはずです。また、私たちはソフトウエア上の課題については貪欲にトライしていきますが、ハードウエア上の課題にぶつかった場合の対処が難しかったですね。例えば、システム上で転倒を検知したいけれども、私たちには転倒センサーを作ったり、海外から良い製品を探し出すことはできません。その点、Labでは徹底したリサーチが行われ、国内外から優れた製品が集まってきますので、最適なものに早くたどり着くことができます。そして、Labでの実証をクリアできた製品が、ケアデータコネクトと接続されていきます。この流れは私たちの製品クオリティの底上げに大きく寄与しますので、大変ありがたく感じていました。

高橋:そうですね。最適なものを探すことができるのがLabの強みであり、ニーズや課題があれば、それを解決する手段を世界中からリサーチして、選定したものをLabで実証・評価していくことが私たちの役割だと考えています。

介護のあるべき姿を追究するという仕事の原点を改めて気づかされた介護のあるべき姿を追究するという仕事の原点を改めて気づかされた

介護のあるべき姿を追究するという
仕事の原点を改めて気づかされた

共同プロジェクトを通して、どんな気づきや学びがありましたか?

飯田:Labでは、私たちが到達できないアイデアを考えたり、現場ニーズを吸い上げたりして、私たちのような開発企業がどれだけ頑張っても手に入れられないような情報に積極的にアプローチしています。それが、決してSOMPOケアのためだけではなく、5年後、10年後の「日本の介護のために」というミッションが根底にあるので、お話しをさせていただく度に自分の視野の狭さを気づかされます。時には打ち合わせ後、凹みながら帰ることもありますが、とても良い刺激になりますし、一緒にそのミッションを達成するお手伝いをさせていただきたいと常々思っています。

高橋:テクノロジーはあくまで手段ですが、ともすると技術が目的化しがちです。飯田さんは、働きやすい介護現場を作るにはどうしたらいいか、より良い介護、あるべき介護には何が必要なのかという原点に立ち戻って議論できる方です。そういう姿勢から私たちもあるべき本来の姿を改めて気づかされます。また、私たちの仕事は現場のスタッフが喜んでくれることが一番のやりがいだということも再確認できました。今回、初めて施設にシステムを導入した際に、一人のご利用者の部屋のトイレマークが点きっぱなしになっていることがありました。初回なのでシステムエラーかと思いましたが、確認するとご利用者がトイレで倒れていたのです。図らずもケアデータコネクトで介護職の方のサポートができることが証明され、施設スタッフからも感謝されました。

飯田:あの時は驚きましたね。システム導入の初日だったので、設定漏れなどが出てしまったかと思いましたが、本当に倒れていらっしゃったと聞いて、システムの精度に間違いはなかったとホッとしました。今振り返ると、そういう事例の積み重ねがとても重要だったと感じています。

製品・プロジェクトの現状と今後の展望について教えてください。

飯田:現在、ケアデータコネクトシリーズが導入されている法人は全国で約300あります。また、Labとの共同プロジェクトであるケアデータコネクトfor FCLについては、Labの居室とSOMPOケアのラヴィーレ川崎で現場実証を実施中です。まずはLabの中で課題になっている部分を私たちがしっかりとクリアして、施設でご利用いただくことが目標です。SOMPOケアだけでなく、同じような課題を抱えている事業所はたくさんありますので、その課題にマッチする製品を作り上げ、それが全国に普及すればいいと考えています。せっかく導入したのに無駄な投資だったと思われないように、本当に良いものだと感じるレベルまで製品クオリティを突き詰めていきたいです。また、将来的には在宅介護に対応したシリーズも提供予定です。センサーを使って介護現場の負担を軽減しようという流れは始まったばかりで、各メーカーがさまざまな製品を開発しています。その中で、人に優しいシステムで見守りの負担軽減につなげて、「働き続けたい介護現場を創造する」という私たちのミッション達成に少しでも近づきたいと思っています。

高橋:飯田さんがおっしゃったように、現在、施設での実証評価を実施して、そのニーズを踏まえて改良を加えている状況です。多くの介護事業者にとって役立つシステムに成長してもらいたいと思っています。この製品は機器やセンサーの発達とともに進化していくもので最終形はないと考えています。必ず介護の未来を変えてくれる製品へと進化すると信じています。

対談の内容は2021年9月時点のものになります。

介護のあるべき姿を追究するという仕事の原点を改めて気づかされた

開発企業の方からの
メッセージ

開発企業の方からのメッセージ

開発企業/ブライト・ヴィー株式会社

Labを使うメリット

  • 製品開発について、さまざまなディスカッションを何度も繰り返し、製品の改良に反映できた。
  • 国内・海外の介護分野に関する最新情報を知り、介護分野に携わる視野が広がった。
  • 介護現場で実証を行い、そのデータ分析も対応してくれる。

Labの皆さんは、私たちの製品に関しての理解者であり、システムが成長するための最善の道を同じ目線で考えてもらっています。そして、調査や分析の視点など学ぶべき点が多くあり、本当に良い刺激になっています。