事例

Case

スキルシェアサービス

Sketter(スケッター)

「Sketter」は、未経験者や資格のない方でも自分のできること(身体介助以外)で福祉に関われるスキルシェアサービス。学生や20〜30代の登録者が多く、福祉の関心層を惹きつけており、異業種からの転職も数多く誕生しています。定額でシステムを利用でき、紹介手数料が一切発生しない点も事業所メリットの1つです。

スキルシェアサービス Sketter(スケッター)

現場実証

Sketter

Sketterが当たり前に毎日の介護現場に関わる未来を実現したい。

誰かに任せたい仕事のある施設と、自分のできることで介護に関わりたい人をマッチングする。それがSketterのサービスです。Labと開発業者がタッグを組み、このサービスを使って多くの人が介護現場に触れることで、介護分野の人材の裾野が広がることを目指しています。Labが実証から現場導入に関わることで、さらにこのサービスの可能性が膨らんでいます。

開発企業の「シーズ」

空いた時間を使って自分のできることで介護現場を支援したい人と介護施設をマッチングするシステムを開発・展開
LabのマッチングLabのマッチング

介護現場の「ニーズ」

特技を持った人にアクティビティを任せたり、配膳下膳などの簡単な業務に関わってもらうことで介護職が専門業務に注力できるようにしたい
介護現場の人材需給ギャップ解消に入り口として裾野を広げるツール

対 談

現場実証のストーリー

介護現場の人材需給ギャップ解消に
入り口として裾野を広げるツール

対談メンバー

  • 鈴木 亮平氏

    (開発企業)

    株式会社プラスロボ

    鈴木 亮平

    代表取締役CEO

    大学卒業後、ネットニュース配信会社に入社。3年間、記者として勤務した後、メディアベンチャーに転職、編集長業務を経て、学生時代から関心を持っていた介護分野で起業を決意し、2017年に株式会社プラスロボを創業。2018年、「Sketter」事業を企画。2019年、サービスをリリース。

  • 片岡 眞一郎

    (Lab担当者)

    Future Care Lab in Japan

    片岡 眞一郎

    Lab所長

    介護付ホームで介護職を経験後、採用・教育の仕事に携わる。2019年2月、Future Care Lab in Japanの所長に就任。

  • 芳賀 沙織

    (Lab担当者)

    Future Care Lab in Japan

    芳賀 沙織

    Lab R&D責任者

    10年間メーカーにて、製品の
    ユニバーサルデザインや介護ロボット等の
    企画に関わる。LabではR&D責任者として勤務。

スキルシェアサービス「Sketter」を開発した動機・きっかけについて教えてください。

鈴木:学生時代の講義で「10年後、20年後には、介護福祉の担い手が不足して大変なことになる」という話しを聞いたことが、介護福祉に興味を持ったきっかけでした。卒業後は専門だったメディア関連の仕事に就きましたが、やはり介護分野への思いが断ち切れず、2017年に思い切って起業しました。最初は介護ロボットの販売代理店業務からのスタートでした。次第に労働人口が減少する中で介護福祉分野の人手不足を目の当たりにして、どうにかして人的資源を増やすことはできないかと考えはじめ、すき間の時間を使って自分のできることで介護福祉に参加する仕組みであるスキルシェアサービス「Sketter」にたどり着きました。介護現場で資格や経験がなくてもできる業務をうまく切り出し、地域社会を含めた人的資源をいかに可視化するかが、人手不足問題解決のポイントになると考えました。

Sketterに体系的な可能性を感じてくれたことが嬉しかった

Sketterに体系的な可能性を
感じてくれたことが嬉しかった

Future Care Lab in Japan(以下、Lab)のニーズと株式会社プラスロボのシーズをどのようにマッチングされたのか聞かせてください。

鈴木:ある介護福祉関連の講演会でSketterの紹介をした時、Labの片岡所長からお声がけいただいたのが最初でしたね。

片岡:そうですね。たまたま講演会で鈴木さんの話しをお聞きして、すぐに声をかけさせていただきました。

Sketterに体系的な可能性を感じてくれたことが嬉しかった

片岡:もともとLabでは、食事・入浴・排泄という介護の3大介助業務をメインにテクノロジーの導入による生産性向上を目指していますが、品質向上も並行して取り組んでいくことが重要です。介護をしていると、なかなか趣味や楽しみの時間にまで気が回らないこともありますが、なるべく高齢者ご自身にあった趣味・楽しみの機会をつくり、背中を押してあげたいと考えていました。高齢者は多彩な趣味活動をお持ちの方も多く、合唱・水彩画・陶芸などになると、介護職員が担当するのは技術的にも時間的にも難しい現状があります。専門のスキルを持ったプロに頼もうとしても、探すのにも時間も手間もかかる。そういうニーズと問題意識があったので、Sketterの話しを聞いた時「これだ!」とピンときました。

鈴木:一緒に現場実証をできないかというご提案をいただき、とてもありがたかったです。私としては、介護職が何でもやっている状況下で、手伝えることを誰かに任せることでその誰かと介護の世界に接点が生まれ、そのことで、将来的にコアな働き手の確保につながっていくことを目指しています。だからこそSketterに体系的な可能性を感じてもらえたことが嬉しかったです。

芳賀:鈴木さんとコンタクトを取ってお話しを伺った後、すでにSketterを活用しているSOMPOケアの施設管理者にヒアリングを行いました。Sketterがなかったら、公共の窓口にボランティアを探しに行き、返事が来るまで数か月も待たなくてはならないこともあり、困っていると聞きました。また、SketterはSNS感覚で一芸の才能のある方を募集し、コンスタントにやり取りできる点が魅力だとも話していました。また、私自身、介護の専門職に資格がなくてもできる仕事、例えば掃除や洗濯なども担わせていることに疑問を持っていました。Sketterで業務の切り分けをすれば、人にアウトソーシングすることができる。うまく組み合わせて使えればいいのではないかと思いました。

現場実証を進める際に、苦労した点がありましたら教えてください。

鈴木:業務をうまく切り出して、介護職の方の日常業務をいかに楽にするかというところからスタートしましたが、特に苦労はなく、スムーズに進んだと思います。従来のサービス内容だとスケッターが来る日と来ない日があるので、それを毎日来てもらうようにするなど課題が見えてきて、今はその改善に取り組んでいます。また、アクティビティに特化するようにポイントを絞ることができるようになり、施設の方にも満足して活用いただけるようになりました。コロナ禍の状況でできるベストな成果を出せるようLabと一緒に試行錯誤できたことが良かったと感じています。

芳賀:施設の管理者とともに募集サイトのページを作成し、レクリエーションや業務依頼の募集をかけた頃からコロナ禍が深刻化し、介護施設でのご家族の面会ができなくなりました。ご利用者が楽しみにしているレクリエーションの時間も感染対策のため制限せざるを得なくなりましたが、緊急事態宣言明けに感染対策を行なった上で、レクリエーションのスケッターに来てもらいました。福祉ネイルやヨガなど内容も充実していて、ご利用者にとても喜んでもらえ、介護現場の方々にも次回を楽しみにしていると言ってもらえました。

Sketterの導入を通して現場と業務の切り分けの意見共有ができたSketterの導入を通して現場と業務の切り分けの意見共有ができた

Sketterの導入を通して現場と
業務の切り分けの意見共有ができた

今回のプロジェクトを通して、どんな気づきや学びがあったか聞かせてください。

鈴木:1年間という検証期間をしっかり取ってくれたことがありがたかったですね。Sketter自体、短期間では成果を出すのが難しく、継続性が求められるツールだと思いますので。

芳賀:もともと私の中に、介護職が専門職なのに当たり前のように掃除や洗濯をしていることに違和感がありました。それが、鈴木さんと話しをする過程で、有資格者とそうでない人の分け方、併用、共存という考え方が、自分なりに整理できました。介護現場では「介護は生活を支える」ものだから、掃除・洗濯も介護だという意識がありますが、現場とも将来的にはこういう新しいやり方の時代が来るだろうと意見共有することができました。また、介護人材の需給ギャップという課題解決のため、人が何を行い、何をテクノロジーに任せるのか、Sketterにおける業務の切り分けの考え方がLabのテクノロジー検討の優先順位付けと近い考え方だということにも気づかされました。

鈴木:その課題は根深い社会問題で、介護業界の人たちだけでは解決できないものです。それを地域全体、社会全体で少しずつカバーできるような互助インフラとしてSketterを活用することで少しでも解決に導けたらと考えています。

片岡:鈴木さんの考え方は、介護を行う上で一番取り組みやすいところから裾野を広げようというものです。そのため、介護の世界に入ることを迷っている人、たとえば学生などにアクセスして、介護の魅力を伝えていこうという姿勢にも共感しました。また、熱い想いをお持ちであることも一緒にやりたいと感じた理由です。

鈴木:他社が有資格者や経験者を集めて介護の仕事にマッチングしていますが、Sketterは有資格者・経験者ではなく、高校生や若い社会人を集めるのに注力しています。若い時から学校帰りなどに気軽に、介護の世界に触れられる文化づくりをすることで、介護分野の関係人口が増えればいいと考えています。

製品の現状、今後の展望についてお聞かせください。

鈴木:これまでに累計で100事業所以上に導入いただき、約2500回のマッチングが成立しています。現在、コロナ禍の影響で導入数の伸びは今一つですが、スケッター数は月100人単位で増えていて、異業種からの参加者が8割と介護関係人口の増加に確実に貢献しています。会社員がほとんどで、職場と家の往復だけではなにかむなしく、普段の仕事ではまったく感謝されないのに、介護現場ではスケッターとしてとても感謝されて充実感を得ることができたという声もよく聞きます。そういう意味で、もう一つの社会参加のあり方を提案している部分もあります。今後は在宅分野でのサービス展開も視野に入れており、すべての人が自分のできることで介護福祉の助っ人になれる互助インフラに成長させていきたいと考えています。

芳賀:現在、3施設で導入済みですが、SOMPOケアは有料老人ホームだけで全国に約300か所あります。現在Sketterは関東・近畿エリア中心なので、まだまだ今後の展開が期待できると考えています。良いものだからこそ、より多くの現場に導入できるようにしたいです。将来的にはコンスタントに来てくださるスケッターを増やして、業務の切り出しが完全に実現できるようにしたい。そして、いずれスケッターが資格を持った介護職の助手のような存在として、当たり前に毎日の介護現場に関われるようになればいいですね。鈴木さんは、日本の介護人材の需給ギャップという社会的課題の解決に一緒に挑戦している大切な仲間であり、大学の後輩でもあります。これからもその新しい発想を学ばせてもらいたいと思っています。

対談の内容は2021年9月時点のものになります。

Sketterの導入を通して現場と業務の切り分けの意見共有ができた
さまざまな特技を持ったスケッターさんによりレクリエーションが充実した

現場の声

さまざまな特技を持った
スケッターさんにより
レクリエーションが充実した

  • そんぽの家 成城南 春田 愛
  • そんぽの家 成城南

    春田 愛

    上席ホーム長、介護福祉士

介護施設でのレクリエーションを多様化したいと考えており、区の窓口でボランティアの依頼を出していましたが、登録して数ヶ月たっても手配できないことが続いていました。そんな時、Sketterを知り、まずは使ってみようと思いました。あんまり期待していなかったのですが、SNS感覚で簡単に登録でき、すぐに回答があったので驚きました。

Sketterで依頼すると、さまざまな特技を持ったスケッターさんが来てくれます。施設スタッフのみで実施するレクリエーションやアクテビティよりも充実しており、ご利用者も喜んで参加しています。また、囲碁や将棋の相手をしに来てくれるスケッターさんもおり、個別性の高いニーズに応じて使うことができました。

これまでに読み聞かせや日本舞踊など、スケッターさんを通してさまざまなレクリエーションを実施しました。外部の方たちと交流できるという利点だけではなく、施設のことを知ってもらう良い機会にもつながりました。また、スケッターさんとして来てくださる方たちのプロフィールを事前に知ることができます。医療や福祉関係のお仕事をされている方たちも多く、安心して利用することができた点もとても良かったです。

介護スタッフの担い手を探すのは、通常だと紹介会社を通したりするので、かなりコストがかかります。今後、Sketterにボランティア登録をされている方々の中で、有料ボランティアとして、就職活動にも活用できたらいいのではないかと考えています。介護スタッフ体験ボランティアとしてインターンのように参加してもらい、最終的には社員として介護の担い手になってもらえたら。そんな仕組みがSketterを活用してできるようになるといいのではないかと思っています。

開発企業の方からの
メッセージ

開発企業の方からのメッセージ

開発企業/株式会社プラスロボ

Labを使うメリット

  • 現場実証だけでなく、さまざまな取り組みができる。
  • Sketterの可能性をあらゆる視点でとらえ、応援・支援してくれる。

Labの方は皆さん熱い思いを持ったスタッフの方ばかりで、仕事への情熱と誠実さを感じます。Sketterについても真剣に考えていただき、実証だけでなく、その他の可能性も模索してくれます。Labの方々は何でも相談でき、介護福祉分野の人材の需給ギャップを埋めるという同じ目標に向かって進む同志のような存在です。